丹波立杭の里(初夏)
【丹波立杭の里】
兵庫県中東部に位置する丹波篠山、丹波立杭の里は幅数百メートルの平らな土地でその東西には深い緑の生い茂る山並みが連なります。

【窯元と登り窯】
小川なりに走る道路に沿って蕭洒な構えの店が次から次へと続きます。
立杭の窯元の数は優に60を越えるとのこと。それぞれの窯元が作品展示のギャラリーを併設しています。
すぐ脇に登り窯を有する窯元も多くあります。

あるものは、赤レンガの四角い先細りの形をした煙突を持つ登り窯。

いっぽう、煙突を持たない登り窯もあって、こちらは煙突がない代わりに、最上部の窯の終わりに蜂の巣と呼ばれる直径20cmほどの数多くの丸い穴を有しています。

窯入れのときには、ここから炎が噴き出すのです。窯は粘土で半円形に成形されていて、その上には屋根が懸かり窯を雨から護っています。
窯元さんにより、年に1回のところもあれば、2~3回の頻度で窯焼きをするとのこと。もっと頻繁に用いられるのかと思いきや、想像よりもはるかに少ない使用頻度に意外の感を抱きました。
【豊かな自然】
窯出しも終わり、今は冷えた窯の脇に放置された失敗作とおぼしき素焼きの鉢の上に鮮やかな緑色を認めました。小指の爪ほどの雨蛙です。慌ててカメラを向けシャッターを押すと、その音に驚いたのかぴょんと跳ねました。

既に役目を終えた蜂の巣の手前には、ねじりばなが鮮やかなピンクの小花を開いています。

全身真っ黒の糸とんぼが3匹草むらの上に戯れています。ショウリョウバッタも人の足音に驚いたのかチキチキと跳びだしました。青いとかげが窯の中にすばやく消えました。細い尻尾が一瞬きらりと煌めきました。どこかで、うぐいすが鳴いています。もうすぐ梅雨も明け、真夏の太陽が照りつけようとしているのに、いささか時期外れの感は否めませんが。
いっぽう、耳を澄ましてみると、遠い山の頂近くで蜩がカナカナと鳴いています。まだ7月なのに。初夏と晩夏が仲良く同居しているのでしょうか。立杭は自然の豊かな郷です。